保険契約の異動に関する調書が創設されています

こんにちは。税理士法人山下会計事務所の小田です。
生命保険契約の契約者変更についてお客様からこのようなご相談を受けました。

・契約種別：掛捨保険以外
・契約者：父（＝保険料負担者）
・被保険者：長男

上記の生命保険契約で、父に相続が発生すると相続財産となるのでしょうか？被保険者の長男は健在ですので保険事故は発生していません。
答えは、相続財産となります。父が負担した保険料の額に対応する生命保険契約に関する権利を父の相続により取得したことになるからです。

そこで、平成27年度税制改正で「支払調書」の改正が行われています。その概要をご紹介させていただきます。
生命保険会社等は、一定金額以上の保険金等の支払いがあった場合に「生命保険契約等の一時金の支払調書」を提出しなければならないとされています。しかし、保険事故が発生していない生命保険契約等については、保険料を被相続人が支払っていても支払調書は提出されません。よって、現状の「支払調書」では契約者に異動があったことを税務当局が把握できず、相続税の課税漏れが発生しているケースがあるようです。そして、税制改正により「保険契約者等の異動に関する調書の創設」が盛り込まれました。
平成30年1月1日以後の契約者変更について次のように改正されています。

（1）保険会社等は、生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合には、死亡による契約者変更情報及び解約返戻金相当額等を記載した調書を税務署に提出することとする。
（2）生命保険金等の支払調書について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする。

被相続人が契約者となっていた保険契約は相続時の解約返戻金で評価することになり、生命保険会社に保険契約情報の提出を義務づけるようになっています。

生命保険契約等の名義変更の手続きについてご不明な点は、山下会計事務所にご相談ください。